アンチラグシステム (ミスファイアリングシステム)
2JZ-GTE/LINK 音量注意!! ANTI-LAG SYSTEM
アンチラグシステム(ミスファイアリングシステム)は、近年チューニングカーへの搭載率が高まっているアプローチのひとつです。かつてはターボ車両専用のシステムという認識でしたが、最近ではレスポンスアップを目的にNA車両へと導入するケースも増えています。
ここではアンチラグシステムの仕組みや構造を解説します。
アンチラグシステムとは
アンチラグシステムは、レーシングカーはもちろん、一部の市販スポーツモデルにも純正採用されているエンジン制御の一つです。アクセルオン・オフ時に起こるターボラグを防ぐことを目的に生まれたシステムで、アクセルオフ時などに「パパパンパンパン…」と連続的に弾けるような炸裂音がすることで知られています。
動作原理
ターボチャージャーは、エンジンから排出される排気のエネルギーでタービンを回転させ、コンプレッサーを駆動することで空気をエンジンへ圧送します。アクセルペダルを戻すと排気エネルギーが減少し、タービン回転数が低下します。その後、アクセルを再び踏み込むとタービン回転数が回復するまで遅延が発生します(ターボラグ)。
アンチラグシステムは、アクセルオフ時に点火時期を遅らせ、エキゾーストマニホールド内で未燃焼ガスを燃焼させることで、タービン回転数の低下を防ぎます。
要約すると、燃焼室で不完全燃焼を起こしつつ、大量の空気を送り込み未燃焼ガスをエキゾーストマニホールドで燃焼させます。その燃焼圧で排気圧力を確保し、タービンの回転低下を防ぎ、ブースト圧を高く保つ仕組みです。
国産車での採用例
スバルのインプレッサWRX STi、三菱のランサーエボリューションシリーズ、トヨタのセリカGT-FOURなどがWRC仕様でアンチラグシステムを搭載しています。これらはWRCレギュレーションにより、市販車でも同様の機構を封印状態で搭載していました。
アンチラグシステムとミスファイアリングシステムの違い
アンチラグシステムはトヨタの呼称で、スバルではミスファイアリングシステム、三菱では2次エア供給システムと呼ばれています。同様のシステムですが、呼び方が異なるだけです。
一方で、アクセルオフ時のサウンド演出である「バブリング」とは異なりますが、仕組みは似ているため混同されることも多いです。
アンチラグシステム導入の重要ポイント
アンチラグシステムを愛車に組み込む際、注目すべきチューニングポイントは「電子制御スロットル」と「ECUチューニング」です。
元々スロットルが電子制御式の車種であれば、ECUチューンのみで導入可能です。ECUチューンでは、以下のアプローチが一般的です:
- アクセルオフに合わせて一気筒の点火時期を遅角させ、混合気をエキゾーストマニフォールドで燃焼させる。
- 続く気筒で点火をカットし、混合気をそのまま排出する。
- アクセルオフ時にエアを取り込むため、電子制御スロットルの開度を調整する。
ワイヤー式スロットル車での導入方法
旧来のワイヤー式スロットル搭載車でもアンチラグシステムの導入は可能です。以下の方法が考えられます:
- 他車種の電子制御スロットルを移植し、モーテックやF-CON Vプロ、LINKなどの高性能フルコンで制御する。
- ワイヤー式のまま導入する場合、スロットルとは別にエアを取り入れるためのバルブを設置する必要があります(例:アイドリング用のAACバルブを使用)。
ただし、後者の方法では予算がかさむため、競技専用車両でない限り現実的ではありません。続きは→weboption